地理学評論 Ser. A
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日本上空300hPaまでの気温逆転層
鈴木 力英河村 武
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1995 年 68 巻 12 号 p. 779-791

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抄録

日本における地上から300hPaまでの気温逆転層(接地逆転層は除く)の地域性と季節性を明らかにすることを試みた.資料には高層観測磁気テープを使用し,1983年3月~1987年2月の4年間を対象期間とした.対象地点は国内の20地点,対象時刻は日本標準時で9時と21時である.逆転層の月別出現頻度と出現高度の情報をもとにクラスター分析を行ない,日本列島を5つの地域(北海道型,東本州型,仙台・館野型,西日本型,太平洋島しょ型)に区分し,次のような結果を得た.北海道型では1,000~950hPaの気層で逆転層が梅雨期を中心に31%(6月)の頻度で発生し,これはオホーツク海気団の影響と考えられる.750hPaを中心とした逆転層の出現頻度の極大は夏季を除いた季節に全国でみられ,冬季季節風,および移動性高気圧等に伴う沈降性逆転が原因であると考察される.

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