地理学評論 Ser. A
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土壌中のマクロポアと間隙空気圧の影響を考慮した降雨浸透実験と数値解析
安池 慎治
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1996 年 69 巻 10 号 p. 832-846

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抄録

土壌中の連続した大間隙(マクロボア)が降雨浸透に及ぼす影響を明らかにする目的で,砂タンクを用いた降雨浸透実験を行うとともに,間隙空気圧の影響を考慮した数値モデルを用いて,関東ローム層を対象に浸透過程の計算を行った.
その結果以下の知見が得られた.(1)不飽和土壌中において,連続した間隙構造(マクロボア)は土壌中の空気の流出経路として機能しており,ぬれ前線下方の間隙空気圧の上昇を抑止する効果を有する.(2)マクロポァのない土壌中においては間隙空気圧の上昇により,地表面付近の水分量が増加した結果,地表面が飽和し,浸透能は著しく低下する.マクロボアはこのような現象の発生を抑止し,大降雨時における浸透能の確保にきわめて有効である.(3)数値解析を実施したところ,関東ローム層のような火山灰質粘性土中において,マクロポァの空気抜き効果が土壌の浸透能に対し影響を与えるという結栗を得た.

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