抄録
ここで地域問題とは,近代国家において国内の特定の領域が提起する社会的,政治的,経済的問題のことである.それは当該国家の社会体制,すなわち広義の資源配分システムにかかわる問題であるので,国民社会のあり方の議論のかたちをとる.この意味で地域問題の提起は社会思想である.地域問題は国によってきわめて多様なかたちをとるし,現代世界においてその性格は急速に変容しつつある.しかし地域問題としてそれらの比較地誌,比較地理思想史の研究は必要であるので,ここでは地域問題のタイポロジーの基準の提示を,地域問題の内容,地域問題提起の主体,国家権力または体制の地域問題への対応という3っの視点から試みた.最後の視点,すなわち国家と地域の関係に関しては,第三世界諸国,旧ソ連・東欧のもと社会主義体制の諸国,そして西ヨーロッパ諸国の3つにわけて考察した.