地理学評論 Ser. A
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日本における都心地域の空間形状の特性と動向
後藤 寛
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1997 年 70 巻 10 号 p. 625-641

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抄録

本稿では日本中の都市から従業者密度によって都心を抽出し,空間形状の特徴を数値化した指標を用いて,衛星都市や県庁所在地のような都市のタイプごとにどのような傾向を持っか,また日本の諸都市の都心がどのように空間形状の特徴によって分類できるかを分析した.事業所統計調査の4次メッシュ集計データを用い,全国から135の領域を抽出して,四つのオリジナルな指標によって空間形状や中心地点への集中程度を測った.
その結果,商業とオフィスの従業者比が都心の性格を表し,オフィスの従業者比が高いほど中心性が高いことを示した.三大都市圏では大都市の都心はオフィス機能に特化し,衛星都市は商業機能に特化しているとともに空間形状がコンパクトであるという特徴を持つ.また県庁都市の都心は一般地方都市と比べてオフィスの従業者比が高く,従業者密度が地理的に均質である.また, 1980年から1990年の10年間の比較分析から地方都市の郊外化の進行を確認した.

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