1997 年 70 巻 6 号 p. 333-351_2
冬季夜間に赤城山南斜面に現れた地表面温度の温暖帯について,土地利用との関連,とくに森林が温暖帯出現の要因となっているかどうかを検討した.地表面温度は1987年1月27日20:50 JST観測のLANDSAT/TMの熱赤外データから求め,土地利用は国土数値情報土地利用データを用いた.
地表面温度分布と土地利用分布の比較により,森林が他の土地利用よりも高温であるために,森林の多く分布する標高が温暖帯として認識されている可能性が指摘された.解析の結果,中腹(標高約450~680m) 以下では,土地利用にかかわらず,地表面温度が逆転しているか,標高が増加しても低下していないこと,また,森林は他のほとんどの土地利用よりも高温であることがわかった.したがって,この地表面温度画像に現れた温暖帯は,土地利用にかかわらず形成されていた高温あるいは低標高部分と等温の部分と,森林と他の土地利用との地表面温度差によって生じた見かけ上の高温部の,双方で構成されていると結論された.