1998 年 71 巻 10 号 p. 765-774
鳥海山北西麓に分布する約3000年前に発生した象潟岩屑なだれの堆積面上の流れ山1816個について周縁と頂点の座標値を小型解析図化機を用いて計測し,長径・短径・比高・短径/長径の比・円形度を算出した.さらに,崩壊源からの距離に対する各指標の平均値,250×250mメッシュ内の各指標の平均値を求め,その分布図を描いた.これらのデータを用いて流れ山の形態的特徴を把握するとともに,岩屑なだれの運動のメカニズムを検討した.
その結果,流れ山の底面の形態はおおむね楕円形を成し,短径/長径の比が0.3以下の細長い流れ山はほとんど存在しないこと,崩壊源からの距離に対する短径/長径の比,円形度はそれぞれ0.67,15.0前後とほぼ一定であることが明らかとなった.また,北東側の大規模な流れと南西側の小規模な流れという異なる二つの流れが存在し,それぞれの流下方向はおおむねN44°W, N73°Wであったことが推定された.