本稿では,国際通話量から見た韓日間の国際的都市システムの結節構造と地方都市の位置づけを分析した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)韓日間の国際的都市システムは,首都間の結合関係が最も強い上位レベルと,地方都市間の結合関係が見られる下位レベルとの,2階層から成る重層的構造である.そのうち,上位レベルにおける首都間の結合は,首都の機能の多様性と経済的基盤の強さを再構築させ,国際的都市システムにおける,首都と地方都市との格差を作り出す重要な要因となっている.(2)下位レベルにおいて,絶対量は少ないが,釜山一福岡間の結合関係が強いことは,両都市が韓日の両国において地方中核都市であること(都市規模)と空間的に近接していること(空間的距離)とに起因する.とりわけ,こうした釜山一福岡間の結合関係は,韓日間の国際的都市システムにおける地方都市間の結合関係の事例として独特の位置を築いており,国際的都市システムにおける水平的構造の可能性を示唆するともいえる.