地理学評論 Ser. A
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中国における1949年以降の食糧生産の変化とその要因
肖 平王 勤学
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1999 年 72 巻 9 号 p. 589-599

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抄録

1949年以降,とくに1978年の改革開放以降約20年間の中国における主要作物の生産量・作付面積・単位面積あたり収量の変化とその要因を考察した.正確な食糧生産量の変化を把握するため,信頼性の高い土地利用調査データを用い,各主要作物の作付面積・単位面積あたり収量を推計し直した.それに基づき,各作物間の関連を検討し,時空間的,かっ総合的にそれらの変化要因を考察した.以上の結果,一般的に知られている人口の増加,自然災害,技術の進歩などの要因に加え,以下の二つの要因が農作物生産の変化に関係していることが明らかになった.1978年以前は,人口の急速な増加に伴う食糧需要量の急速な増大が高収量作物の導入の主な原因であったが,1978年以降は,食生活の変化による食糧消費構造の変化が,高収量作物の導入に大きな役割を果たした.1980年代以降顕著となる都市化は,農地の減少だけではなく,農村における非農業生産部門の発展と,それに伴う労働力,資金などの流出をもたらし,食糧生産に大きな影響を与えた.

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