地理学評論 Ser. A
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ソ連時代末期のロシア共和国における集落別工業分布
小俣 利男
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2001 年 74 巻 10 号 p. 567-584

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抄録

本研究では,従来の大地域別・州別分析では実態把握上限界があった,ソ連時代末期のロシア共和国における主業分布にっいて集落別の検討を試みた.まずソ連時代の工業・都市両概念を整理後,工業構成と州別工業分布を概観した.それを受けてモスクワ,チェリャビンスク,イルクーツク3州の工業企業に関するデータベースを作成し,企業数や業種の観点から集落別工業分布を検討した.その結果,国内中核部への工業集中と周辺部の採取工業割合の高さが示された.また,採取部門が工業に含められることに起因する見かけ上の分布拡大と周辺部の工業化,および集落特性と工業立地の密接な関係,とりわけモスクワ地域を筆頭とする大都市への顕著な工業集中が明らかになった.そのような大都市工業集中をもたらしたのは,工業の比較大都市指向性と行政中心地指向性であり,前者の典型的な業種は機械・金属加工,後者のそれは出版・印`刷であることも明らかにされた.

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