Geographical review of Japan, Series B
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西スマトラ赤道付近にある高原の土地利用の動態
中野 和敬シャフディン
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1992 年 65 巻 2 号 p. 90-103

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抄録

西スマトラ州赤道付近でパダン(ミナンカバウ)高原南縁に位置する高地湖周辺域の農業的土地利用変化の要因を解明する試みを自然および社会経済の双方から行なった。 1980年代なかばの土地利用状況の定量的分析に加えて,土地利用の動態と20世紀初頭以来の社会経済条件の変化との関係も調査した。前述の分析の結果の第一の注目点は畑作物の選定が輸送と道路条件ならびに地形条件と関連しているという点である。
この地域の住民が政府の政策によるものも含めて社会経済条件の変化に機敏にかっ合理的に対応してきたとの結論に至った。米作にとって不利な自然環境下で, 1920年代以来の市場経済に対する積極姿勢が特に目をひく。道路網の発達と整備が市場経済の侵透に果たした役割りは大きかった。

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