本稿は,長崎県佐世保市を事例として,地方自治体がいかなる軍事施設イメージを提示しているのかを明らかにすることを目的とした.特に軍事施設の存在が憲法第9条で明示された「平和」理念と矛盾するという点に着目し,それに対してどのように対処しようとしているのかを検討した.具体的には,そうした「平和」との矛盾を顕在化させた事象として,1960年代の米軍原子力艦艇寄港反対運動を位置づけ,これに関連する時期や場所について分析を行った,その結果,佐世保市行政は,顕在化した矛盾に抵触しないよう,さまざまなレトリックを駆使しつつ,軍事施設イメージを創り出していた状況が明らかとなった.