地理学評論
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地方圏における土木業者の本店立地の空間パターン
梶田 真
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2005 年 78 巻 13 号 p. 913-927

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抄録

本稿では経営事項審査データを基に地方圏における土木業者の本店立地の空間パターンを分析した.分析の結果,(1)地方圏に本店を置く業者は完成工事高の規模や支店配置の面で全国ゼネコンとは明らかに区別される,(2)都道府県を超えた営業活動を行っている大規模土木業者の本店がある少数の道県を除いて,地方圏の各県では1位業者の完成工事高規模が62億円から81億円の間に集中し,県内における1位業者の卓越性が低い点で業者構造の類似性が高い,(3)極端に圏域の人口規模が小さい場合などを除き,地方圏の道県の土木関連部署のほとんどの出先機関の管轄域内には平均完成工事高10億円以上の土木業者の本店が立地している,という3点が明らかになった.(3)の知見は発注機関が入札において管轄域内に本店を置く業者を優先的に取り扱っていることによるものであり,発注機関の管轄域の編成が地方圏全域において土木業者の本店立地を強く規定していることが確認された.

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