本研究は, ローカルに活動するNPO法人の担い手と成立ちを明らかにすることを通して, 東京大都市圏におけるNPO法人の分布の空間的特徴に説明を加えることを目的とする. 分析結果からは, 東京大都市圏では, 都心部にNPO法人が集中する一方で, 東京西郊を中心とする郊外にもNPO法人が広く分布しており, そこではローカルに活動するNPO法人の割合が多いという空間的特徴が示された. そして, 多摩市で実施したインタビュー調査からは, ローカルに活動するNPO法人は性別役割分業のもと, 既婚女性を中心に日常的活動が支えられていること, そして地縁を越え, 多摩市程度の広がりを持ったさまざまな選択縁ゐもとに成立していると特徴づけられた. これらの点は, 東京西郊を中心とする郊外にNPO法人が多いことの一っの背景として考えられる. また, ローカルに活動するNPO法人の分布は, 担い手レベルで東京大都市圏の社会地域構造と関係していると考えられる.