地理学評論
徳之島における闘牛の存続と意義
石川 菜央
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81 巻 (2008) 8 号 p. 638-659

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抄録

本研究の目的は, 闘牛開催地が全国的に担い手不足に悩む中, 徳之島において闘牛が盛んに行われ, 若い後継者が続々と現れている要因を解明することである. 具体的には, 闘牛大会の運営方法, 後継者を生み出す仕組み, 担い手にとっての意義の3点に着目し, 娯楽の側面, 行事をめぐる対立, 女性の役割を踏まえなら分析した. その結果, (1) 島内からの多数の観客が大会を興行として成り立たせ, 行政の支援や観光化なしでの運営を可能にしていること, (2) 牛舎が若者を教育する場になる上, 大会での応援を通して牛主以外の多くの人々が闘牛に関わること, (3) 親しい人物のウシとは取組を避け, 取組相手とも友人関係を築く切替えの早さを前提に, ウシの勝敗が日常の社会的評価とは異なる価値基準として島内で確立していることを指摘できた. 担い手は, このような闘牛に強い愛着を持っており, 島に住み続ける大きな動機にもなっている.

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© 公益社団法人 日本地理学会
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