宝石学会(日本)講演会要旨
平成13年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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顕微ラマン分光法の宝石鑑別への応用例
岡野 誠北脇 裕士
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p. 11

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抄録

ラマン分光法とは、ラマン効果(単色光を物質に当てて散乱させる時、散乱光のうちに、その物質に特有な量だけ波長が変化した光が混ざってくる現象)を利用して物質の同定や分子構造の研究を行う手法である。レーザー技術の発達により、今日的な分析法として工業的な品質管理や物性物理学の分野で広く用いられている。宝石学の分野では特にレーザーのもつ高い空間的分解能を利用した宝石内部のインクルージョンの研究に関して今後の応用が期待されている。顕微ラマン分光法ではレーザー·ビーム径を数μmに絞ることができ、ピンポイントでの分析を非破壊で行うことが可能である。また、分析に用いる試料形態の自由度が高く、他の分析手法では測定できないようなメレサイズの脇石や覆輪留めなどにも適用できる。インクルージョンの同定が宝石鑑別に与えるアドバンテージはきわめて大きく、特に母結晶の生成起源を知るうえで貴重な情報を得ることができる。例えば、一見、天然の結晶インクルージョンに酷似する合成石中の固体インクルージョン(例えばドーロス·ルビー、カシャン·ルビー中のフラックス·インクルージョンなど)も特徴的なスペクトルを示し、合成起源が明らかとなる。また、ジルコン結晶は加熱によりスペクトルが変化することが知られており、コランダム中のジルコン結晶を分析することにより、加熱エンハンスメントに関する情報を得ることが可能である。その他、ジェダイト中に含有されるアルバイトなどの他種鉱物の分析も容易に行うことが可能である。また、顕微ラマン装置はフォトルミネッセンス分光を行うことが可能である。液体窒素で冷却して測定することにより、ダイアモンドのカラー·センタを精度高く検出することができる。これにより、合成ダイアモンドや照射処理に特有の欠陥を検出できることがある。さらにはGE POLやNovaプロセスなどのHPHT処理の看破に応用できる。

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