宝石学会(日本)講演会要旨
平成13年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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H-richダイアモンドの変色性の測定
—マルチ分光測色計C5940応用の一例として—
矢野 晴也
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p. 12

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抄録

宝石類が示す色の鑑定鑑別は、マスター·ストンやマンセル色票との比較で行うのが一般である。然しながら、これらの方法では恣意的な判断の入り込む余地が大きく、このためより客観的な結果を期待して、従来から様々な色を測定する機器が開発考案されて来た。最近の例としては、ダイアモンド用のカラリメーターなどがある。最近日本の某メーカーが開発販売している、マルチ分光測色計が導入され、この応用例の一つとして、H-richダイアモンドの変色性とその経時変化を測定したので報告する。このマルチ分光測色計C5940は、反射率、色度図座標値、三刺激値、色彩値、マンセル値を自動的に計測計算し表示するが、測色から表示までに要する時間は極めて短く10秒以下であることも、この測色計の特徴の一つである。このことを利用し上記の変色性とその経時変化の計測を行った訳である。水素は、窒素やボロンに加えて天然a型ダイアモンドの一般的な不純分と認められている。この水素の含有は、赤外領域でのシャープな吸収、1405cm-1と3107cm-1により検出可能である。これらH-richダイアモンドは、一般には灰色がかった青色や黄色を示すが、時には紫がかった灰色や灰色がかった紫色を示すこともあるとされ、所謂カメレオンダイアモンドもこの類であるとされている。これら処理されていないH-richダイアモンドは、長波紫外線により、強い黄色蛍光を発し、燐光を伴う事が多く、その強さと持続時間は石毎に異なると言はれている。取り敢えず2個のH-richダイアモンドと判定される石につき、長波紫外線を1, 2分照射し、その示す色の経時変化を測定した。計測した石の一つは、0.430ctのマーキス·カットで照射前の色はFancy(violetish)Grayと鑑定されていた。照射後Fancy Light Brownish Grayと変化し、6分後に元に戻った。二つ目の石は0.143ctのブリリアント·カットでLightBlueish GrayがFancy Light Yellowish Grayに変化し、30分後に元に戻った事が確認された。途中経過その他の詳細についてさらに報告する。今回はこのC5940測色計の応用例の一つを紹介したが、このように本測色計は宝石の分野でも大きな可能性を持つものと予測される。更に研究を進める事と致したい。

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