宝石学会(日本)講演会要旨
平成14年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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マダガスカル イラカカの現状について
古屋 正司
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p. 14

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抄録

1995年にマダガスカルの東南部、東海岸のFort Dauphinの北北東100kmに位置するAndranondamboで良質のサファイアが発見され、それからしばらくして、今度は最北端のDiego Suarezの南100kmのAmbondromifihyにおいて、またサファイアが発見された。そして1998年中頃、南部のIsalo国立公園近郊で牛の放牧をしていた若者が青色の美しい石を発見したのがイラカカでのサファイア·ラッシュの始まりであった。このようにマダガスカルでは、ここ数年の間に世界的に有名となるサファイアの鉱床が3箇所も発見された事になる。イラカカは首都Antananaivoより南西に750km、西海岸の町Tulearより北東に250kmの国道7号沿いに位置し、ほんの少し前までは小さな寒村であった。イラカカの宝石鉱床は大きく2つの地域に分けられる。ひとつはAndranolavaを中心とした北地区と、イラカカ川を中心とした南地区であり、いずれもスリランカやタンザニアの宝石鉱床と同種の石灰岩堆積鉱床であり、鉱床はとても広大な地域に広がっている。北地区の宝石鉱床は、Sakarahaの北部よりAnkazoaboの町の近くまでの約40×70kmの地域で、南地区はRanohiraの近郊からSakarahaの町の先まで約50×130kmの地域で広範囲に宝石が発見されている。採掘は実に簡単な方法で行われている。小さなグループは、4∼5人の家族操業である。直径80cm位の縦穴を掘り、一人は穴の中に入ってシャベルでつつき、袋に土砂を入れる。上にいる人はそれを紐で引き上げ近くに溜め、他の人がそれを30kg程袋に詰めて川まで担いで運んで行く。そこで穴のあいた箱に土砂を入れて川の水で洗う。この方法が大半である。50∼60人ほどの大きなグループではシャベルと2m程のバールで広い範囲を掘り、階段式に深く掘り下げて行き、その階段状の平らな場所に順に下から土砂を運び上げ、やはり袋に詰めて川まで運び2人一組になって洗っている。最近では、タイ、スイス、ドイツ、カナダから宝石業者が入ってきてシャベルカーやブルドーザーなどの重機を使って、洗石機で一日に千トンの土砂を選別している。これらの地域からは、基本的にピンク、オレンジ、ブルー、パパラチャ、ギウダのサファイア、アレキサンドライト、クリソベリル·キャッツアイ、ジルコン、赤色と緑色のガーネット、ガーネットのアレキサンドライトタイプ、ファンシーカラー·トルマリン、クロム·トルマリン、トパーズ、ベリル、スピネル、美しい緑色と緑青色のガラス、水晶等が発見されている。採掘の様子、産出石の特徴、今現在のマダガスカルの状況などスライドを用いながら説明したい。

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