2年前に販売した黒蝶真珠ネックレスの数個がてりを喪失するというクレームが発生し、その原因分析を依頼された。
てり喪失真珠(以下試料と称す)について現象面を観察し、以下のことが明らかになった。
?目視からも陬はなく、Iーロラ効果煬轤黷轣A試料では光の干渉が起きていない。
?X線透視画像からは内部に亀裂・ひびは認められない。
?分光反射スペクトルには三つの黒蝶吸収が明瞭に認められる。
?真珠層表面拡大でも何ら特異な点は見られなかった。
次に試料を切断。薄片化し、その断面構造を光学顕微鏡レベル、電子顕微鏡レベルで観察した。
その結果表面から30、50、80ミクロン付近に微小な亀裂が発生しているのが観察された。入射光はこの亀裂のために散乱を起こし、光の干渉が起きない(てりが喪失)ことが分かった。
JISの温度・湿度サイクル試験に準拠して、これらの微小亀裂の発生を再現してみせたので併せて報告する。