宝石学会(日本)講演会要旨
平成25年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
セッションID: 10
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平成25年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
南極大陸セールロンダーネ山地産アマゾナイトと他の産地との識別
*福田 千紘宮﨑 智彦亀井 淳志赤坂 正秀
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抄録

 2012年には南極大陸セールロンダーネ山地産のアマゾナイトの特徴を主に記載し報告した.また他の大陸,国で産出するアマゾナイトを入手し産地ごとの微量元素の差に着目して差異の有無を検討した.その結果,着色に影響しているとされるFe,Pbの他に着色にあまり影響しないと考えられるRb,Sr,Cs,Baの含有を確認しそれぞれ産地ごとの特徴との関係を検討した.
 本年は昨年薄片としていた南極産のアマゾナイト以外の試料の一部もすべて薄片にしてEPMAを用いた定量分析,面分析を行った.
 薄片になった状態で観察した結果,各産地ごとにラメラの分布や規則性に差が見られた.不定形な脈状~レンズ状のラメラを持つものが多いが直線で構成されたラメラを持つ試料があった.また幅も様々でこれは元々高温で形成された時点でのNa成分の含有量の差異によるものと考えられる.結晶内部には石英を包有している試料がいくつか見られた.薄片になった状態での色の濃度は原石またはカット石の状態で色を比較した時の濃度とは異なった.
 定量分析の結果,微小領域での組成は純粋な正長石と灰長石成分をわずかに含むほぼ純粋な曹長石のラメラからなっていることを確認した.また数ミクロンのビーム径で分析できる領域からは昨年蛍光X線分析で差異を見出した微量元素であるFe, Pb, Rb, Sr, Cs, Baは検出限界を下回るケースが見られた.そのため不均一性の特徴と傾向を調べるため面分析を行った.その結果微量元素の存在度は正長石成分の部分と曹長石成分の部分ではわずかな差が認められたが概ね均一であると判断される.
 これらの結果と昨年発表した結果を照らし合わせてより簡便な方法で識別が可能かどうかを検証した結果を報告する.

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