宝石学会(日本)講演会要旨
平成27年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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平成27年度 宝石学会(日本) 講演会 論文要旨
合成結晶研究の歩みと最新の結晶合成の紹介
*綿打 敏司
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抄録

クリスタル科学研究センターは文部省令により1962年に設置された無機合成研究施設を前身とした研究センターである。当時の人工水晶の育成に関する研究は特筆に値し、科学技術庁長官賞などを受賞した。
1980年代頃までわが国の貴石研磨、加工および水晶振動子の生産中心地である山梨県に設けられた研究施設として、地元業界との密接な交流を基にその発展に貢献した。同時に無機材料科学の発展にも貢献してきた。
1989年には、世界に類のない大型で高純度の酸化物超伝導体単結晶の育成に初めて成功し、その単結晶を用いた世界的な共同研究へと進展させた。また、その単結晶育成に用いられた浮遊帯溶融(FZ)法は、その後、全世界の物性研究者に広まった。また、その結晶育成装置の製造販売を手がける県内メーカーは世界的にも大きなシェアを占めている。 無機合成研究施設の設置から40年経った2002年、21世紀を支える結晶材料の新領域を開拓することを目的に改組し、文部科学省令により「クリスタル科学研究センター」へと改称した。その後更なる変革を経て2014年から大学院総合研究部附属の研究施設として活動している。
そうした特徴を有するクリスタル科学研究センターにおいて、私はFZ法の改良に関する研究を行っている。これは、FZ法が物性研究者だけではなく、結晶材料の工業的な生産にも用いられるようになることを目指したものである。このFZ法では、物性測定に必要な大きさの結晶は育成できるものの、工業的に利用する際に必要とされる大口径の結晶育成が困難であるためである。私は、工夫すればFZ法でも工業的に利用可能な大口径の結晶育成が可能になると信じて、その実現を目指している。その詳細については当日お話させていただく。

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