宝石学会(日本)講演会要旨
平成28年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
会議情報

平成28年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
LIBS を用いたジュエリー分野の応用分析
*李 宝炫李 盈周
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 6-

詳細
抄録

2015 年の 6 月にソウル市の支援で設立され たソウルジュエリーセンターはジュエリー産 業の活性化及びジュエリー産業の集積地で ある鍾路地域の育成や発展を目指し、総合 支援施設として様々な事業を行っている。セ ンター内にあるラボでは宝石や貴金属の分 析を行う装置を揃え、業界への分析サポートや流通されているジュエリー完成品及び原 材料に関するモニタリング事業を行っている。 そのため、ジュエリー分野に適した分析方法 の提案が必要である。
LIBS(Laser- induced breakdown spectroscopy)分析はレーザー源を利用して 材料表面の一部をプラズマ化し、プラズマか らの発光を分光分析する方法である。特に 軽元素を含むすべての元素測定が可能で あることからこれまで主にコランダムのベリリウム検出に行われてきた。さらに 破壊面積 が極狭小な範囲(直径約40µm程度)での あることと迅速な測定が可能であるためジュエ リー分野の様々な材料への応用分析が期待される。
ソウルジュエリーセンターでは応用分析法の一つとして保有している LIBS 装置(J200, ASI)を用いて鑑別に必要な宝石材料を含め、 貴金属として韓国で主に使われている金の合金材料の定性·定量分析を行っている。韓国では金合金の定量分析を行うため一般的に国際認定規格の検査法である ICPMS 及び Cupellation 法を採用している。しかし、これらの方法は破壊分析であり、分析に必要 な試料量も最小 1g 以上となる。したがって、 金合金の定量分析の応用として LIBS 分析 を試してみた。金の含有量による標準試料 を用いてジュエリー製品の含有量やろう付け 部分の元素ごとの比較分析を行った。まだ 認定規格の結果との充分な比較や検証過 程は必要であるが、このような LIBS による貴 金属の分析はジュエリー製品の破壊を最小 化できる応用分析の一つとして考えられる。 それで、現在までの貴金属の分析方法の紹 介と共に新しく試した LIBS による金合金の 分析法を紹介する予定である。さらに、宝石材料であるダイヤモンド及び色石の幾つか の鑑別特徴を LIBS 結果で紹介する。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top