宝石学会(日本)講演会要旨
2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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2019年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
ベトナム Luc Yen 産ルビー、ブルーサファイア LA-ICP-MS 分析を用いた産地鑑別のアップデート
*江森 健太郎北脇 裕士
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p. 14

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抄録

ベトナムは地理的にアジアの宝石が豊な国々に囲まれているにもかかわらず、1980 年代まで商業的な宝石採掘は行われていなかった。1983 年にハノイから北東 150 km の Yen Bai 地区 Luc Yen で地質学者がルビーとスピネルを発見し、系統的な調査が開始された。そして、1987 年にベトナムの地質調査所が同地区にルビー鉱床を発見、1990 年にハノイ南西 300 km の Qui Chaw でも上質のルビーが発見され、話題となった。

ベトナム産ルビーは品質の良いものはミャンマー産に匹敵しており、正確な原産地鑑別は鑑別機関にとって重要な課題である。また他の色のサファイアは市場性が低く、その宝石学的特性はあまり知られていない。そこで今回は、これらのベトナム Luc Yen 産のルビー、サファイアを新たに入手し、調査を行ったので、その結果を報告する。

本研究には 2016 年~2017 年にかけてベトナム Luc Yen のマーケットで入手したコランダム 64 個(0.16 ~ 1.70 ct)を用いた。入手時には Luc Yen、An Phu、Chau Binh と区別されていたが、本研究では広義に Luc Yen と一括した。これらについて一般的な宝石鑑別手法に加え、FTIR、紫外可視分光光度計による分光検査、LA-ICP-MS による微量元素測定を行った。特に筆者らが 2015 年宝石学会(日本)で行った微量元素測定と三次元プロットの手法についてアップデートを試みた。

先行研究では、ベトナム産を含むマーブル起源のルビー(ベトナム、ミャンマー、タンザニア)の識別には Mg-V-Fe の三次元プロットが有効であるとしていたが、今回分析を行ったサンプルには、ミャンマー産のルビーとオーバーラップするサンプルが多く存在した。そのため本研究においては新たに V-Cr-Fe の三次元プロットやオーバーラップする部分に対するロジスティック回帰分析を駆使することでミャンマー産ルビーとのオーバーラップを解消し、原産地鑑別の精度を向上させることができた。また、ブルー系のサファイアについても、V-Fe-Ga の三次元プロットを新たに使用することでベトナム Luc Yen 産のサファイアを他産地と明確に分離することができ、同様に産地鑑別の精度上昇に寄与できることがわかった。

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