宝石学会(日本)講演会要旨
2019年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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2019年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
“ばら色”と称されたテリの良い真珠について
*南條 沙也香小松 博
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キーワード: Interference color, teri
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p. 22

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抄録

古来より日本では天然真珠が産出していた。マルコポーロは東方見聞録の中で日本の真珠について「この国は多量の真珠が産出する。ばら色をした円い大型の、とても美しい真珠である。ばら色の真珠の価格は、白色真珠に勝るとも劣らない」 *1 と表現している。今回はこのばら色と称された真珠とはどのようなものか、現在の状況から推定した。

日本に古来より生息し、天然真珠が採られていたと言われているアコヤガイは赤い色素を有していない。従って「ばら色」という表現は干渉色による赤色を発現しているテリの良い真珠を指していると考えられる。干渉色は構造から発現される色であり、真珠の場合の赤色の干渉色は厚さ約 0.33μm 程度の結晶層が積層された場合に発現するということが報告されている(小松ら;宝石学会誌,2014)。今回は電子顕微鏡を用いてピンク系の養殖アコヤ真珠の結晶層の観察を行い、これらを確認した。またテリに最も影響を与える結晶層の部位やその要因についても考察を行った。

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