2022 年 66 巻 2 号 p. 19-29
ベトナムでは,エビ養殖産業の持続性を目的とし,統合型養殖システムが推奨されている。「ライス・シュリンプ」養殖システムは,水稲栽培を行う,統合型養殖システムのいち形態であり,「マングローブ・シュリンプ」養殖システムと同様に,環境持続性を担保しつつ,複数品目から収入機会を得ることで,安定的なアクアポニックス的複合経営を実現できる養殖スタイルとして期待されている。しかし,その特性や経営実態は明らかではない。このシステムは,持続可能な養殖経営の実現に成功しているのだろうか。本研究では,カマウ地区における実態調査をもとに,「ライス・シュリンプ」養殖システムの実態と課題を明らかにした。調査の結果,養殖業者が一旦この養殖システムに着業しても,天候条件が悪い年には,稲作による稲作による収入が得られないこと,高頻度に発生する塩害による稲作の成績が不安定なこと,その結果,稲作を放棄して,経済的に大きくエビ養殖に傾斜している現状が明らかになった。つまり,稲作とエビ養殖が併存する養殖システムとしては成立しておらず,当該養殖システムの導入が困難化していることが明らかになった。今後,当該システムが普及するためには,十分な塩害施設の整備や耐塩性の高い水稲品種の開発,オーガニック・シュリンプとしての市場評価の獲得が必要であることも明らかにした。