北海道地域福祉研究
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北海道における農福連携の中間支援に関する事例的考察
畠山 明子大原 昌明杉岡 直人
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2023 年 27 巻 p. 21-34

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抄録

本稿は、北海道を事例対象地区とした農福連携における中間支援の現状について、北海道内の行政機関等を対象とした事例調査を実施し、課題を明らかにしたものである。農福連携の歴史は、初期には社会福祉法人による取り組みがみられ、その後、農業事業体の生産 ・ 加工 ・ 販売の六次化およびハウス栽培等における人手不足の対策として、障害者就労支援事業所との連携による雇用の推進として進められてきた。また近年は、高齢者や生活困窮者 、刑務所や少年院からの出所者等、様々な就労ニーズのある人々を包摂する共生型の就労支援機会の拡大として取り上げられてきた。今回の事例調査の対象は、都道府県レベルに相当する北海道保健福祉部 、北海道社会福祉協議会、農林水産省の出先機関である北海道農政事務所および自治体レベルの中間支援組織としての役割を積極的に果たすべく取り組んでいる恵庭市( 障がい福祉課)である。事例調査の結果から、農福連携の推進主体といえる行政機関等の中間支援を担う組織に求められる「マッチング」 と「普及啓発」の機能を「直接的中間支援」「間接的中間支援」としてその特徴を整理した。 今後は農福連携に取り組む社会福祉法人や農業生産法人あるいは農業を手がける企業組織への中間支援の役割が重要となる。自治体レベルの連携だけでなく、農福連携における求人情報や求職情報を仲介する専門職を配置した中間支援組織を都道府県段階および市町村段階で展開することが求められる。

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