北海道地域福祉研究
Online ISSN : 2759-3193
Print ISSN : 1349-9874
新たな施設の社会化としての社会福祉法人の廃校活用
畠山 明子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 28 巻 p. 1-14

詳細
抄録
本稿は、1980年代の施設の社会化論を踏まえて、過疎化や都市化、少子高齢化などの要因と学校の統廃合の関係を整理し、廃校の活用状況を取り上げ、廃校を高齢者福祉施設や障害者福祉施設へ転用している事例の中から、地域住民の地域福祉活動を支える拠点として取り組む社会福祉法人の2事例を取り上げ、考察した。 社会福祉法人Aは、1956年に身体障害者福祉の一環としてクリーニング事業を開始し、地域の高齢者・障害者福祉を担う施設を運営している。Aは廃校となった校舎を活用し、多機能型事業所Zを開設した。その後、大幅な改修を行い、特別養護老人ホームをはじめ地域交流スペースや福祉避難所なども提供し、地域貢献活動に取り組んでいる。社会福祉法人Bは、地域の高校閉校に伴い、廃校を活用してOを開設した。高齢者専用住宅や障害者就労支援施設を併設し、地域密着型の福祉サービスを提供している。所得層に合わせた高齢者向けの住まいの問題にも対応し、地域のニーズに応えている。両事例は、地域課題解決を目指して廃校を福祉施設に転用し、あわせて地域貢献を果たしている。本稿では、社会福祉法人が地域コミュニティの再生と福祉活動を強化するために、廃校を活用する背景について新たな施設の社会化を導くものとして考察を行った。
著者関連情報
© 2024 北海道地域福祉学会
次の記事
feedback
Top