肺癌
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症例
血清IL-6高値を呈しゲフィチニブが著効した悪性胸水を伴う肺腺癌の1例
小牧 祐雅寒川 卓哉東 陽一郎副島 賢忠長濱 博行坪内 博仁
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2008 年 48 巻 4 号 p. 273-278

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抄録

背景.血清IL-6高値を呈した肺癌患者でのゲフィチニブ著効例の報告はまれである.症例.57歳女性.2005年1月,乾性咳嗽,胸痛出現し当科を受診.白血球数,血小板数の増加を認め,CRPは8.84 mg/dl,血清IL-6値も64.5pg/mlと上昇を呈していた.胸部CTにて右側に無気肺,6×5 cm大の腫瘤,胸水貯留を指摘された.胸水細胞診で腺癌細胞(class V)と診断されEGFR変異も認めた.遠隔転移は認めず,肺腺癌stage IIIBと診断された.ゲフィチニブ内服開始したところ,右側胸水は著明に減少,腫瘍はほぼ消失し,無気肺も改善した.臨床症状は改善し発熱も認めなくなった.血液検査においてもCRP値,白血球数,血小板数,IL-6値はいずれも正常範囲化し,ゲフィチニブの治療効果はgood PRと判定した.1年後,ゲフィチニブ治療継続にもかかわらずCRP,血清IL-6値の再上昇および腫瘍増大を認め当科再入院となった.CBDCA+PTXによる化学療法3クール施行後には原発巣の腫瘍縮小とともにIL-6の低下も認めたが,多発脳転移が出現し効果はPDと判定された.結論.ゲフィチニブが著効した血清IL-6高値を伴う肺腺癌症例の報告はまれである.

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© 2008 日本肺癌学会
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