肺癌
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原著
I期肺腺癌における術中胸腔内洗浄細胞診陽性例の細胞像と予後因子としての意義
荒木 邦夫高木 雄三徳島 武
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2009 年 49 巻 7 号 p. 1027-1031

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抄録

目的.I 期肺腺癌治癒切除症例における術中胸腔内洗浄細胞診(PLC)陽性例の細胞像の特徴,及びPLCの予後因子としての意義を解明する.研究計画.手術時(肺葉切除+肺門縦隔リンパ節郭清)にPLCを行った病理病期 I 期肺腺癌132症例を対象とした.PLC陽性症例の細胞病理学的特徴を検索するとともに,全症例について再発の有無と予後を調査し,PLCが予後因子となりうるか否か解析した.結果.PLC陽性は6例であり,これらは主として乳頭型の細胞及び組織形態が特徴的であった.4例に再発がみられ,同側の肺あるいは胸膜に限局した転移が1例,他臓器への遠隔転移を有するものが3例であった.PLC陰性例と陽性例の予後を比較すると,陰性例の術後5年生存率90.0%に対し,陽性例では60.0%であり,後者が有意に予後不良であった(P<0.01).Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析でも,PLCは予後因子として独立した指標となった.結論.I 期肺腺癌におけるPLCは予後因子となることが明らかとなった.陽性例の主体は乳頭状腺癌であること,及びその多くは遠隔転移で再発する結果が示された.

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© 2009 日本肺癌学会
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