2009 年 49 巻 7 号 p. 1032-1037
背景.肺原発mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫は比較的稀な疾患であり,未だに確立された治療法はない.今回我々は肺に多発した肺原発MALTリンパ腫の1例を経験したので報告する.症例.60歳,男性.右背部痛を主訴に来院.胸部CT上,右S3,S8,左S10に多発する浸潤影を認めた.気管支鏡検査では確定診断が得られず,胸腔鏡下右肺下葉切除術による切除標本の免疫組織学的検索および遺伝子解析の結果より,肺MALTリンパ腫と診断した.R-COP(rituximab,cyclophosphamide,vincristine,prednisolone)療法を6コース施行した結果,画像上CRを認めた.6ヶ月経過した現在も再燃の徴候はない.結論.肺に多発した肺原発MALTリンパ腫に対し,rituximabを含む全身化学療法にてCRを認めた1例を報告した.