肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
原著
肺腺癌細胞の分泌蛋白質群―外科的切除組織の培養上清に含まれる診断バイオマーカー候補の同定―
果 然平野 隆川上 隆雄ごん 雲波野村 将春山口 学佐治 久垣花 昌俊大平 達夫池田 徳彦
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2010 年 50 巻 2 号 p. 141-150

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抄録

目的.肺癌の早期診断に有用なバイオマーカーの確立は治療成績向上のための重要な課題である.我々は血清マーカーを探索する目的で,肺腺癌組織から分泌あるいは漏出する一群の蛋白質を分析した.方法.外科的に切除した12症例の肺腺癌組織および同じ症例の正常な末梢肺組織を各々無血清培地で短期培養した.培養上清中の癌組織および正常組織由来の蛋白質を,異なる蛍光波長を持つ色素化合物(CyDyeTM:Cy2,Cy3 and Cy5)でそれぞれ標識した.標識試料を症例ごとに混合後,各々二次元電気泳動で展開した.結果.二次元ゲル上で検出された蛋白質スポットのうち,34個のスポットは少なくとも5症例から検出され,かつ正常組織に対する癌組織の平均蛍光強度比が2.0以上を示した(p<0.05).質量分析を含む解析手順により34スポットのすべてから有意な蛋白質同定結果を得た.同定された蛋白質には,napsin Aやpulmonary surfactant-associated protein Aなど,II型肺胞上皮細胞への組織学的分化を示す蛋白質が含まれていた.また,腫瘍組織全般に共通して発現の亢進することが示唆される蛋白質も同定された.結論.組織培養からのアプローチは肺腺癌の血清マーカーの候補蛋白質を同定するために有効である.

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© 2010 日本肺癌学会
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