2014 年 54 巻 7 号 p. 947-950
背景.胸腺腫は免疫異常を伴う種々の自己免疫疾患を合併することが知られているが,扁平苔癬を合併した胸腺腫は稀である.症例.50歳男性.扁平苔癬に対してプレドニゾロン(PSL)とタクロリムス(FK506)の投薬が開始された.治療開始5年後に胸痛精査で撮影した胸部CTで胸腺腫を疑い,胸骨縦切開による胸腺全摘術を施行した.術後は口腔内所見の改善が得られ薬剤の減量が可能となった.結論.扁平苔癬の診断から5年後に胸腺全摘術を施行し,症状の改善を認めた貴重な症例である.