肺癌
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症例
T3肺癌術後放射線照射13年後に発生した紡錘細胞癌の1例
冨田 栄美子尹 亨彦内海 朝喜松井 浩史野口 未紗松村 晃秀
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 55 巻 4 号 p. 218-222

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抄録

背景.一次癌に対する放射線治療後の生存期間が延長するに伴い,放射線関連の二次癌が増加傾向となっている.我々は肺癌術後放射線治療後に発生した紡錘細胞癌の1例を経験したので報告する.症例.51歳の男性.左肺癌 扁平上皮癌 pT3(pl3)N0M0 stage IIBに対して胸壁(胸膜)合併左上葉切除を施行した.術後,胸壁に対して放射線治療(50 Gy)を施行した.その後5年間の経過観察期間中には再発徴候を認めなかった.しかし,治療から13年後に放射線照射部位に腫瘤が出現し,急速に増大した.腫瘤の大部分が胸壁に存在していたため,胸壁発生の放射線誘発肉腫を疑い,胸壁腫瘍摘出,左残存下葉部分切除を施行した.術後病理検査にて紡錘細胞癌と診断した.術6か月後に再発し化学療法を開始したが,術12か月後に永眠された.結論.今回,我々はT3肺癌術後に放射線治療を行い,その13年後に放射線照射野に発生した紡錘細胞癌の1例を経験した.

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© 2015 日本肺癌学会
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