2015 年 55 巻 4 号 p. 247-250
症例は77歳女性.咳嗽を契機に胸部X線で異常陰影を指摘され,胸部CTで縦隔に造影効果に富む最大径7 cmの腫瘤を認めた.経皮的生検で胸腺非定型カルチノイドと診断後,2007年7月に拡大胸腺腫瘍切除術を施行した.病理結果は,HE染色で類円形核を有する腫瘍細胞が血管性間質を伴って充実胞巣状,索状に密に増生する,神経内分泌形態を示していた.核分裂像は10高倍視野で4個認められた.免疫染色ではchromogranin A,synaptophysin陽性であった.術後追加治療は行わず経過観察していたが,2013年7月の胸腹部CTで胸膜・腹膜播種による再発を認めた.再発時点で83歳と高齢であり化学療法などは施行せずBSCの方針となった.胸腺非定型カルチノイドは術後長期間経てから再発することも稀ではなく,継続的な経過観察が肝要と思われる.