肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
EML4/ALK融合遺伝子陽性肺癌に対しクリゾチニブ投与後に切除した1例
石本 真一郎高橋 伸政池谷 朋彦村井 克己星 永進清水 禎彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 55 巻 6 号 p. 1019-1023

詳細
抄録

背景.肺腺癌においては原因遺伝子の研究が進み,EML4/ALK融合遺伝子を有する症例に対してはALK阻害薬という有効な治療薬の選択が可能となった.今回,bulky N2で切除不能と判断したが,クリゾチニブ投与後に著明に改善し,手術を行った症例を経験した.症例.34歳男性.検診で異常影を指摘され当院を受診.胸部CTで右下葉に径9 mmの結節と,気管分岐部リンパ節(#7),葉気管支間リンパ節(#11i)の腫大を認めた.EBUS-TBNAでリンパ節(#7)から腺癌が検出され,EML4/ALK融合遺伝子陽性であった.cT1aN2M0,Stage IIIAの診断でクリゾチニブの内服を開始した.内服2ヶ月後のCTで肺結節,リンパ節(#7,#11i)がともに縮小した(縮小率55%).右中下葉切除とリンパ節郭清を施行した.病理はAdenocarcinoma with mixed subtypes,ypT1aN1M0,Stage IIA,Ef.2であった.現在,術後9ヶ月目であるが無再発生存中である.結論.切除不能進行肺癌に対する治療において,ALK阻害薬の使用によって外科手術が貢献できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2015 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top