56 巻 (2016) 1 号 p. 27-32
背景.縦隔を原発とする胚細胞腫瘍は比較的稀である.症例.症例は68歳男性.健診での胸部CTにて前縦隔に腫瘤影を認め,精査加療目的に当院紹介受診された.胸部CT上,縦隔腫瘍と同時に左第6肋骨頭にも腫瘍性病変がみられた.胸腺腫もしくは胸腺癌からの肋骨転移が疑われ,針生検を施行したが確定診断は得られなかった.縦隔腫瘍への生検も困難であり,確定診断および治療目的に手術を行うこととした.胸腔鏡補助下に手術を施行,左第6肋骨腫瘍の生検を行い迅速病理で悪性腫瘍の診断,縦隔腫瘍は左上葉の一部に浸潤していたため腫瘍摘出および左肺部分切除を施行した.最終病理にて縦隔原発の精上皮腫,成熟型奇形腫,胎児性癌の混在する混合性胚細胞腫瘍,肋骨転移と診断され,シスプラチン,エトポシド,イホスファミドによる化学療法を4コース施行された.結論.縦隔型胚細胞腫瘍は高齢男性の発症例の報告は少ない.また,本症例のように孤立性の肋骨転移を伴うことは稀な進展形式と思われ,貴重な症例と考えられた.