肺癌
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症例
アテゾリズマブが奏効した肺大細胞神経内分泌癌の3症例の検討
鈴木 悠斗中尾 心人荒川 総介藤田 浩平佐藤 英文村松 秀樹
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2020 年 60 巻 5 号 p. 390-395

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抄録

背景.抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブの,肺大細胞神経内分泌癌(LCNEC)に対する有効性は十分に検討されていない.LCNECに対しアテゾリズマブを使用した3例を経験したため報告する.症例.症例1は65歳,男性.ふらつきを契機に受診し左肺S6結節と多発転移性脳腫瘍を認めた.脳腫瘍の外科的切除によりLCNECと診断(stage IVB).シスプラチン+イリノテカン奏効後にPDとなり,アテゾリズマブを開始し奏効を認めた.症例2は66歳,女性.左肺上葉結節を外科的に切除しLCNECと診断(stage IIB).術後化学療法としてシスプラチン+エトポシドを投与するも両肺多発転移と脳転移にて再発.アムルビシン,続いてシスプラチン+イリノテカンによる治療を行うもPDとなった.その後アテゾリズマブを開始し肺転移巣は縮小した.症例3は64歳,男性.左肺胸部異常陰影で受診し,気管支鏡検査でLCNECと診断(stage IIIA).放射線同時併用のカルボプラチン+エトポシド後にPDとなった.アテゾリズマブを投与し原発巣や肝転移の縮小を認めた.結論.LCNECに対するアテゾリズマブが奏効した貴重な症例と思われ,報告する.

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© 2020 日本肺癌学会
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