肺癌
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症例
子宮筋腫核出術9年後に局所再発と良性転移性肺平滑筋腫を認めた1例
栗木 未来横山 俊彦伊藤 雅文稲垣 雅康田中 麻里横山 佑衣子町井 春花高納 崇野村 史郎
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2020 年 60 巻 5 号 p. 416-422

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抄録

背景.良性転移性平滑筋腫(benign metastasizing leiomyoma:BML)は,組織学的に良性である子宮筋腫が遠隔転移をきたす稀な疾患である.症例.症例は44歳女性.35歳時に子宮筋腫核出術の既往がある.健診にて胸部異常陰影を指摘され,当院に紹介された.胸部CTで両肺に多発する辺縁の平滑な円形の小結節影を認め,1年の経過観察中に緩徐に増大した.胸腔鏡下肺生検を実施し,病理組織から子宮平滑筋由来のBMLと診断された.9年前に核出された子宮筋腫と同様の組織像であり,骨盤部MRIにて子宮粘膜下に筋腫の再発もみられた.6か月間のゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストによる偽閉経療法にて子宮粘膜下病変,多発肺結節ともに縮小が得られたが,プロゲステロン製剤に変更後肺病変は再び増大した.結論.我々が1994~2016年に報告された26症例を検討したところ,約80%に子宮筋腫に対する手術の既往があり,術後BML発症までの期間は平均11.3年であった.子宮筋腫は既往歴として重要視されないこともあるが,特に手術歴がある症例には本疾患も鑑別に入れておく必要がある.

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© 2020 日本肺癌学会
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