肺癌
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症例
デュルバルマブ投与中に広範な肺壊死を生じた肺癌の1例
折中 雅美伊藤 利泰角田 陽平石井 あずさ加藤 さや佳粥川 貴文小林 正宏宮松 晶子龍華 祥雄浅野 周一
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2020 年 60 巻 7 号 p. 985-990

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抄録

背景.根治的化学放射線治療後の地固め療法としてデュルバルマブ投与の有効性が示され,切除不能III期非小細胞肺癌の標準的治療として用いられるようになった.同治療においては肺障害が高頻度でみられ,そのマネジメントが非常に重要である.症例.65歳,男性.右上葉肺扁平上皮癌(cT3N1M0)に対し,初回治療として化学放射線療法を施行した.腫瘍縮小が得られたため,照射終了7日後よりデュルバルマブ投与を開始した.8コース投与後,発熱・右胸痛があり,胸部CTを撮影したところ右上葉を中心に広範な浸潤影,すりガラス影を認めた.抗菌薬とともにステロイド投与を開始したが,8日後に再検したCTでは浸潤影は広範な空洞へと変化した.空洞は照射範囲に一致,葉間を超えて広がり,空洞内部の葉間胸膜は残存していた.気管支鏡検査では有意な病原体は検出されず,その後,感染合併やDICにより状態悪化,肺障害出現後,約1か月で永眠された.臨床経過と剖検所見より,デュルバルマブ使用と放射線照射に伴う肺障害,肺壊死と考えられた.結論.化学放射線治療後,デュルバルマブ投与中に広範な肺壊死を生じた症例を経験した.

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© 2020 日本肺癌学会
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