肺癌
Online ISSN : 1348-9992
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原著
免疫関連有害事象逆引きマニュアルの有用性
野口 哲男中川 雅登高木 順平上林 憲司奥野 翔子三由 僚田久保 康隆
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 61 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

目的.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫システムの過剰活性化は,免疫関連有害事象(irAE)を起こす.標準のirAEマニュアルは病名,検査,治療という流れである.我々はirAEの症状から病名を推定するirAE逆引きマニュアルを作成した.方法.irAEの重要度の高い症状を8つ選択した(発熱,吐き気,意識レベル低下,倦怠感,呼吸困難,腹痛,頭痛,手足の脱力).当該症状があれば追加質問して疑わしい病名を推定する.それ以後は標準のirAEマニュアルを使用することができる.8つの仮想症状,正解病名を準備して,4名の研修医でirAE逆引きマニュアルの有用性を検証した.彼らにirAE逆引きマニュアルありとなしで仮想症状に追加質問して病名を答えるように求めた.結果.irAE逆引きマニュアルなしの場合,4名とも正答率は低く(0~25%),解答までの時間は長かった(6~12分).一方irAE逆引きマニュアルありの場合,4名とも正答率は高く(75~100%),解答までの時間は短かった(2~3分).結論.irAE逆引きマニュアルはirAE病名を短時間で推定するのに有用なツールである.

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© 2021 日本肺癌学会
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