肺癌
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症例
デュルバルマブ投与後に劇症1型糖尿病を発症した小細胞肺癌の1例
寺師 直樹久金 翔宮寺 恵希加藤 祐樹寺嶋 勇人鈴木 彩奈渥美 健一郎清家 正博弦間 昭彦廣瀬 敬
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2022 年 62 巻 4 号 p. 323-328

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抄録

背景.免疫チェックポイント阻害薬による劇症1型糖尿病は稀な有害事象である.肺癌においては非小細胞肺癌での報告が散見される.今回,小細胞肺癌に対するデュルバルマブ投与後に劇症1型糖尿病を発症した症例を経験した.症例.71歳男性,Performance Status 1.糖尿病の既往歴なし.進展型小細胞肺癌cT4N3M1b stage IVAに対して,20XX年5月よりカルボプラチン+エトポシド+デュルバルマブ併用療法が開始された.Day 27より食欲不振,倦怠感が出現し,2コース目投与日(day 30)の検査で高血糖(761 mg/dl),尿ケトン陽性,尿中Cペプチド3.9 μg/日を認め,デュルバルマブによる劇症1型糖尿病と診断した.インスリン治療で血糖コントロールが得られた後に,カルボプラチン+エトポシド併用療法が3コース行われた.著明な治療効果が得られ,その後病状進行はみられていない.結論.小細胞肺癌に対するデュルバルマブ投与後の劇症1型糖尿病発症は稀であるが,緊急性のある免疫関連有害事象であり注意を要する.

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© 2022 日本肺癌学会
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