肺癌
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症例
CTで充実性結節を示しリンパ節転移を来していた微少浸潤性腺癌の1手術例
尾崎 有紀武藤 哲史鈴木 理鈴木 弘行
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2022 年 62 巻 5 号 p. 389-394

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抄録

背景.2017年に肺癌取扱い規約が改訂され,微少浸潤性腺癌という分類が加えられた.今回微少浸潤性腺癌にも関わらずリンパ節転移を来していた症例を経験したので報告する.症例.80歳女性,CTで右肺上葉の結節影を指摘され,肺癌の疑いで当科に紹介された.右肺上葉S3に気管支透亮像と胸膜陥入像を伴う2.3 cmの充実性結節を認め,FDG集積はSUVmax=4.5であった.リンパ節腫大や遠隔転移を疑う異常集積を認めなかった.確定診断には至らず肺癌疑いcT1cN0M0 stage IA3として手術を行った.胸腔鏡下右肺上葉切除術を施行し,術中迅速で肺腺癌の診断を得て,ND2a-1のリンパ節郭清を行った.永久病理診断でも肺腺癌であったが,腫瘍径1.8 cmで,浸潤径が5 mm未満だったためpT1miと判断された.#12uに転移陽性でpN1の診断となったが,規約第8版にはT1miN1M0に該当する病期がなく,第7版のT1aN1M0 stage IIAとして術後補助化学療法を行った.現在術後51ヶ月であるが,再発なく経過中である.結論.微少浸潤性腺癌では極めて稀とされているリンパ節転移を伴う1症例を経験した.

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© 2022 日本肺癌学会
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