肺癌
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症例
術後早期に再発をきたした胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍の1例
伊藤 温志川口 瑛久篠田 真里金田 真吏川口 晃司島本 亮伊藤 稔之藤本 源湯淺 博登髙尾 仁二
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2022 年 62 巻 5 号 p. 417-423

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抄録

背景.胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍はラブドイドな形質とSMARCA4遺伝子の欠損を特徴とする極めて予後不良の腫瘍である.症例.63歳男性.主訴,血痰.胸部CTで肺胞出血を伴う左下葉肺癌(cT2bN0M0:cStage IIA)が疑われ,診断と治療目的に胸腔鏡下左下葉切除術+リンパ節郭清(ND2a-1)を施行.病理検査で同一肺葉内転移を伴う胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍[pT3(pm1)N0M0:pStage IIB]と診断された.経過良好で術後8日目に退院となったが,退院2週間後の外来受診時に左胸水貯留を認めた.左胸腔ドレナージで血性胸水を認め,胸腹部CT検査では術前に指摘できなかった右第2肋骨の転移を疑う骨破壊像,左副腎転移を疑う結節の増大を認めた.診査胸腔鏡を施行したところ,左胸膜播種巣を認め術後再発と診断された.その後急速に進行する病勢に対して有効な治療介入を行えないまま,初回手術後49日目に呼吸不全により永眠された.結論.肺癌根治術後に極めて早期に再発した胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍の症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2022 日本肺癌学会
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