肺癌
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症例
病理解剖で診断した石綿曝露歴のある偽中皮腫性肺癌の1例
松川 力嗣松本 理恵杉本 龍士郎河瀬 成穂浦岡 直礼川端 俊介山田 貴弘仙谷 和弘堀田 尚克今井 茂郎
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2026 年 66 巻 3 号 p. 162-167

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抄録

背景.偽中皮腫性肺癌は臓側胸膜へのびまん性浸潤を特徴とする末梢性肺癌であり,診断に難渋することもあり病理解剖の報告例も散見される.症例.石綿曝露歴のある93歳,男性.呼吸困難,血性胸水のため紹介となり,止血目的に胸腔鏡下血腫除去と胸膜生検を施行した.病理組織学的検査では肺癌の胸膜播種であり,腺癌の可能性が示唆された.高齢であり積極的治療は行わず緩和治療を行う方針としたが,急性呼吸窮迫症候群の合併でステロイド治療も併施し,発症から3か月後に原疾患の進行のため死亡した.病理解剖では原発巣の同定はできなかったが,末梢肺および胸膜に,腺癌成分が混在した多形癌の像を認め,偽中皮腫性肺癌と診断した.結論.偽中皮腫性肺癌は稀な疾患で,胸膜中皮腫との鑑別には十分な組織採取と免疫染色が必須である.本症例は多形癌といった稀な組織型でもあり生前診断が困難であった.診断と石綿曝露の労災補償の点で病理解剖が有用であり,医療圏の特性もふまえ積極的組織診断の重要性を再認識した1例であった.

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