著者らは, 胸部X線写真無所見肺扁平上皮癌症例の治療経験から, 早期肺扁平上皮癌には根治性を維持した機能温存を目的とした区域切除の良い適応があると考え, 5症例6病変に対し区域切除を施行し, 根治性, 機能温存性において概ね良好な結果を得た.胸部X線写真無所見肺癌症例において, 気管支鏡所見, 生検組織・擦過細胞所見のすべてにおいて早期扁平上皮癌が推定され, かつ区域支より末梢に存在する病変に対しては, 根治性を維持した機能温存を目的とした区域切除を積極的に施行すべきと考えられた. また, 上記のいくつかの所見において必ずしも早期と推定できない場合, 区域切除では根治性を維持できるか否かは未だ不明である. 腫瘍の深達度が気管支壁を越えた, リンパ節転移を認めない胸部X線写真無所見肺癌症例に対して区域切除によって根治性を維持し得るか否かについては今後の検討を待つ必要がある.