肺癌
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大久野島毒ガス障害者における肺癌剖検例の検討
組織型と発生部位の推移について
前田 晃宏粟屋 幸一井原 義尚由田 康弘石岡 伸一稲水 惇米原 修治井内 康輝重信 卓三山木戸 道郎
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1994 年 34 巻 4 号 p. 525-530

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抄録

広島県の大久野島に第二次世界大戦中設置されていた毒ガス工場の旧従業員 (以下毒ガス障害者) における肺癌剖検例について検討を行った. 対象は1952年から1990年末までの剖検例45例 (全て男性) で, 肺内多発癌を3例に認めたため, 発生部位, 組織型の検討にはこれを加えた. 毒ガス障害者における肺癌による死亡率が同期間の広島県男子と比べて有意に高かった1977年までの症例をI群, 有意差が認められなくなった1978年以降の症例をII群として比較した. I群において次の2つの特徴が認められた. 1) 58%(26病変中15病変) が0~I次の太い気管支に発生している. 2) 組織型は45%(31病変中14病変) が扁平上皮癌, 29%(9病変) が小細胞癌, 16%(5病変) が大細胞癌で腺癌は7%(2病変) であった. これらは, 職業性肺癌の特徴を満たしていたが, II群ではその特徴は明らかでなかった.

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