35 巻 (1995) 6 号 p. 809-814
症例は35歳時に子宮筋腫を摘出された48歳の女性で, 検診にて胸部X線写真上両側肺野に多発性の腫瘤状陰影を指摘され来院した. 経過観察中, 多量の胸水が貯留・自然消退を繰り返した. 腫瘍は肺内に存在するものや肺外へ有茎性に突出するものがあり, 手術により計5個全てを摘出した. 以前摘出された子宮筋腫には組織学的に核の異型性や異常な核分裂像を認めなかった. 今回摘出した肺の腫瘍は, 組織学的にいずれも以前の子宮筋腫と同様の紡錘型の細胞からなり, 異型性や異常な核分裂像は認めず, 子宮筋腫の肺転移と診断した. このような例はこれまで少数例ではあるが報告されており, 女性の多発性肺腫瘍の場合には子宮筋腫の既往がないか確認することが必要である.