症例は, 70歳男性.健診で右下肺野の異常影を指摘され近医で約10ヵ月間経過観察されていたが, 徐々に陰影の増強を認めた.胸部単純X線およびCTでは, 小嚢胞状の含気の混在する肺炎様浸潤影が主体であった.経気管支肺生検 (TBLB) にて特発性間質性肺炎と診断し治療を開始したが, 陰影の改善を認めなかった.再び施行したTBLBでは, 悪性腫瘍が強く疑われたため, 審査開胸し診断的右下葉切除術を行った.下葉は750gで, 外観は肝状であり, 含気に乏しく牽糸性の粘液が充満していた.病理所見は, 立方状から円柱状の腫瘍細胞が, 既存の肺胞上皮を置換して散在性に下葉全体に増殖していた。腫瘍は, 粘液形成が著明で, 細気管支肺胞型腺癌と診断された.本例は, 一葉限局型の細気管支肺胞型腺癌で, pT2N0M0であり, 治癒切除を行い得たと考えられるが, 術前診断の困難さから健診発見から手術まで約1年を要しており, 経気道播種の可能性を考えて注意深い経過観察が必要と考える.