39 巻 (1999) 6 号 p. 805-812
肺癌検診の有効性の指標として最も重要なものは検診群の肺癌死亡率の減少効果である.本研究はLSCT導入前の事前評価の一つとして, 現行と将来のCTによる肺癌検診が死亡率をどの程度減少させるかを計算シミュレーションによって示す.方法には筆者の提案した癌検診の決定論的な数学モデルを用いて, 検診実施時の肺癌死亡率と検診を実施しなかった場合の同じ集団の死亡率 (基礎リスク) を求め, 相対リスク (RR) とリスク差 (RD) を計算した.比較対象として現行の間接撮影による集団検診, 直接撮影による個別検診と将来のLSCT検診の3種を選んだ.RRは肺癌罹患率100/10万人年の10万人の集団では現行の集団検診が0.9 (95%信頼区間: 0.66-1.23), 個別検診が0.82 (0.60-1.13) となり, 死亡率は有意に低下しなかった.しかし, LSCTによる検診ではRRは0.46 (0.31-0.67) となり, 有意に低下する可能性があることが示され, CT検診の導入を検討する必要があると考えられる.