44 巻 (2004) 4 号 p. 219-224
目的・方法.肺扁平上皮癌 (Sq) や肺腺癌 (Ad) に対する化学療法や放射線療法に関して, 呼吸機i能障害の程度により治療内容を考慮すべきであると考えられる.しかし, 現状では, SqとAdは非小細胞肺癌として一括して扱われており, 両組織型間における肺傷害の差異や喫煙がこれらの呼吸機能障害に及ぼす影響については明らかにされていない.1995年から1999年までに千葉大学附属病院に入院した非小細胞肺癌患者について, 気管支鏡にて中枢 (区域気管支入口部まで) の病変の有 (中枢型), 無 (末梢型) を評価し得た352例 (sq: 136例, Ad: 216例) のうち, 重喫煙群 (喫煙指数>800: 159例) と軽喫煙群 (喫煙指数<400: 148例) の計307症例 (sq: 117例, Ad: 190例) を対象として, 喫煙指数, 病変部位, 診断時の呼吸機能検査値の関連をretrospectiveに解析した.結果.対象症例全体の解析では, SqはAdと比べて年齢と喫煙指数はともに高く, 拘束性換気障害, 閉塞性換気障害, 肺拡散障害, AaDO2の開大がより顕著であった.一方, 対象を末梢型肺癌に限った検討では, 全症例についての解析とほぼ同様の傾向を認めたが, SqではAdに比べて肺拡散障害がより顕著であった.さらに, 末梢型肺癌を喫煙指数にて層別化し検討した結果, 呼吸機能検査値は, 両組織型とも軽喫煙群に比べて重喫煙群で, より低下していたが, Sqではー▽25/Htと肺拡散能は両喫煙指数群問で差異を認めず, 軽喫煙群でも低下していた.結論.SqではAdに比べて呼吸機能障害が強く認められた.末梢型肺癌においては, 両組織型ともに喫煙が呼吸機能障害に影響を及ぼしていたが, SqではAdに比べて軽喫煙群でも末梢気道障害や肺拡散障害を呈することが多いことが明らかにされた.