反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
第29回反応と合成の進歩シンポジウム
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ポスター発表
Benzo[b]furansへの1, 3-oxazine縮合閉環反応とその誘導体の合成
*安藤 裕子安藤 久美子金村 英美山口 真実桑田 納子國友 順一大石 義孝
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p. 182-183

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抄録
[目的]Acetyl基はVilsmeier 反応により、-CCl:CHCHO (2-formyl-1-chlorovinyl)基に変換される。また、amide基もVilsmeier 反応により、特異的な官能基に変換されることが報告されている。我々はこれら2つの官能基が隣接して存在するbenzo[b]furan誘導体のVilsmeier反応を検討し、新たな閉環反応を見出した。また、その誘導体合成についても報告する。[方法]Salicylaldehydes (1)から3段階でcyanophenols (4)を合成し、4からchloroacetoneによる分子内閉環により2-acetyl-3-aminobenzo[b]furans (5)を合成した。次に、5に種々の酸クロライドを反応させて、2-acetylbenzo[b]furan-3-carboxamides (6)を合成した。これらにVilsmeier反応(POCl3-dryDMF)をおこない、反応物をアルカリ処理すると、benzofuran環の2, 3位にformyl exo-methylene基が置換されたoxazine環が縮合閉環した閉環化合物(7)が生成した。また、本反応ではdimethylaminoacryloyl基を有する8も得られた。(Scheme 1)。次に7のformyl基に、Horner–Wadsworth–Emmons 反応や aldol 反応により、oxazine環の6位に共役系を導入した誘導体9を合成した(Scheme 2)。[結果と考察] 2-Acetylbenzo[b]furan-3-carboxamidesからのVilsmeier 反応により合成したoxazine閉環化合物7の構造、異性体の存在、反応メカニズムを検討した。 7はVilsmeier反応によって合成された新規な閉環化合物であり、今後formyl基を用いた生理活性誘導体の合成が期待できる。また、Vilsmeier反応後、アルカリ処理を行うことにより、oxazine閉環化合物 (7)が生成するという点は、メカニズムを追究する上で重要な手がかりとなると考えている。さらに、7には、exo-メチレンに起因する異性体の存在がNMRより確認されている。Formyl基のプロトンと隣接する炭素上のプロトンは異性体による2種のピークがそれぞれ認められている。8のdimetylaminoacryloyl基はNMRによりE-formであると思われる。ここに見出された新規なoxazine閉環反応は、さらに新しいoxazine化合物の合成への展開が期待できる。
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© 2003 日本薬学会
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